チュートリアル: オンラインのソースからオープンデータを収集する
Site: | OpenCourseWare for GIS |
Course: | 水文地質学のためのGISトレーニング |
Book: | チュートリアル: オンラインのソースからオープンデータを収集する |
Printed by: | Guest user |
Date: | Thursday, 10 April 2025, 10:48 PM |
Description
1. 概要
- Africa Groundwater Atlas Country Hydrogeology Mapsをダウンロードする
- Africa Groundwater Atlas Country Hydrogeology MapsをQGISで可視化する
- 異なるGeoNode SDI のデータを QGIS に読み込む
- CSVファイルをインポートする
- データとスタイルをGeoPackageに保存する
- QGISプロジェクトをGeoPackageに保存する
2. Africa Groundwater AtlasのCountry Hydrogeology Mapsをダウンロードする
まず、Africa Groundwater Atlasからマラウイの地質・水文地質のデータをダウンロードします。
1. 次のウェブサイト開きます: https://www.bgs.ac.uk/africagroundwateratlas/downloadGIS.html
アフリカの38カ国の水文地質学(帯水層の種類と生産量)と地質学(特に水文地質学との関連性)を持ったESRIシェイプファイルをダウンロードすることができます。
2. マラウイ(Malawi)をクリックします。
3. ダウンロードフォームに入力し、Submit Formをクリックします。
4. フォームを送信すると、データを直接ダウンロードできるページが表示されます。
リンク先を記載したEメールも届きます。
5. ダウンロードしたZIPファイルをハードディスクに例えば、 Z:\などに解凍します。
ファイルはフォルダレベルで圧縮されていることに注意してください。ファイルを解凍すると、ファイルを解凍したフォルダにMalawiのフォルダが表示されます(例:Z:\Malawi)。おすすめのオープンソースのzipを解凍するアプリは7-Zipです。
次のセクションではQGISでデータを見てみましょう。
3. Africa Groundwater AtlasのCountry Hydrogeology Mapsを可視化する
Africa Groundwater AtlasのマラウイのCountry Hydrogeology mapをダウンロードし、ZIPファイルを解凍した後、QGISでESRIシェープファイルを開くことができます。
1. ブランクのプロジェクトでQGISを起動します。
2. ブラウザパネルに行って、ZIPファイルを解凍したフォルダを探し、Malawi_HG.shpレイヤを地図キャンバスにドラッグします。
ESRI Shapefile形式のこのポリゴンベクターレイヤーの属性テーブルを確認してみましょう。
3. レイヤパネルで、Malawi_HG layer上で右クリックし属性テーブルを開くを選択します。
属性テーブルは次の二つのフィールド: MaIGLG と MaIHGCombがあります。
MaIGLGフィールドは、地質学の、MaIHGCombフィールドは、地物の水理地質学のデータを持っています。
4. これらの属性についての詳しい説明は、データに付属しているPDFファイル(AfricaGroundwaterAtlasCountryMapsUserGuide_OR19035_V1_1.pdf)を確認してください。このファイルは、Malawi_HG.shpファイルと同じフォルダにあります。
残念ながら、このデータには凡例用の ESRI .lyr ファイルしか付属していません。これらのファイルは、プロプライエタリのソフトウェアである SLYR ツールを使用して、QGIS がサポートするフォーマットに変換することができます。
ここでは、このwikiページの色に基づいて、地質学と水文地質学を手動でスタイル化していきます。
http://earthwise.bgs.ac.uk/index.php/Africa_Groundwater_Atlas_Hydrogeology_Maps
5. レイヤパネルでMalawi_HGをクリックしボタンを押してレイヤスタイルパネルを開きます。
6. レイヤスタイルパネルでカテゴリ値による定義(categorized)を選択します。値でMaIGLGフィールドを選択し分類をクリックします。
7. その他の値をクリックし、ボタンを押して削除します。その他の値はデータのない地物を表示するためにいつも自動的に追加されます。今回はデータのない地物はありません。
画面はこのような感じになっているでしょう。
今はランダムな色を割り当てましたが、手動で色を調整することもできます。
8. レイヤパネルで、Malawi_HGレイヤーの凡例の色がついた四角をダブルクリックして、ポップアップウィンドウのシンボルセレクタダイアログを使って色を変更します。
9. スタイリングした後、レイヤパネルの Malawi_HG レイヤーを右クリックし、レイヤーの名前の変更を選択します。
10. レイヤの名前をGeologyに変更します。
11. レイヤパネルのGeologyレイヤを右クリックし、レイヤを複製を選択します。
12. ステップ9と10と同じやり方でレイヤ (Geology copy)を複製しHydrogeologyに名前を変更します。
13. ここでステップ5から8の手順を繰り返して、MaIHGCombfフィールドを使ってHydrogeologyレイヤをスタイリングします。
結果は下の図のようになっていることでしょう。
14. プロジェクトを保存します。メインメニューでプロジェクト | 名前をつけて保存...を選択し、例えばmalawi.qgzのようにして保存します。
次のセクションでは、このプロジェクトにインターネットからのデータをさらに追加していきます。
4. GeoNodeでレイヤを検索する
マラウイには、GeoNode上に構築されたマラウイ空間データプラットフォーム(MASDAP)という空間データ基盤(SDI)があります。
このセクションでは、MASDAPのデータをQGISプロジェクトに追加します。
1. マラウイ空間データプラットフォーム を見てみましょう。
2. 検索フィールドに「groundwater」と入力し、<Enter>ボタンを押します。
次のような結果が表示されます。
3. レイヤ名をクリックし、レイヤのメタデータと属性情報を確認します。
ダウンロードボタンで、このデータをダウンロードすることができます。しかし、次のセクションでは、QGISからこのGeoNodeに接続して、プロジェクトにレイヤーを読み込みます。
5. GeoNodeからWFSレイヤを読みこむ
groundwater_monitoring_wells_Coordinates レイヤをダウンロードする代わりに、QGISとMASDAPのGeoNodeとを接続し、QGISプロジェクトにWFSとしてレイヤを読み込みます。
1. QGISプロジェクトに戻ります。
2. ツールバーのデータソースマネージャを開く ボタン をクリックします。
3. GeoNodeタブを選択します。
4. 新規ボタンをクリックし新しいサービス接続を作成します。
5. 新しいGeoNode接続を作成ダイアログで、名前にMASDAPをURLにhttp://www.masdap.mwを入力します。
6. 接続テストをクリックします。
テストが成功すると、このポップアップが表示されます。
接続に失敗する場合は、インターネット接続環境やURLを確認してください。
7. OKをクリックしポップアップを閉じます。
8. ダイアログのOKをクリックしてダイアログを閉じると、新しい接続が追加されます。
9. 接続ボタンをクリックします。
これで、GeoNode 上のレイヤーが一覧表示されます。
10. フィルタにgroundwaterと入力します。
groundwater_monitoring_wells_Coordinates layer がWMSとWFSWebサービスとして表示されます。
WMS(Web Map Services)は、データの画像をレンダリングしたものです。データを素早く視覚化するのに便利です。WFS(Web Feature Services)は、GISでの分析にさらに利用できるベクター形式の地物です。ここでは、WFSレイヤーを使用します。
これで、プロジェクトは下の図のようになります。
次のセクションでは、GeoNode WFSレイヤーをローカルのGISベクターファイルにエクスポートします。
6. WFSレイヤーをベクター形式でエクスポート
前節で扱ったGeoNodeレイヤーは、まだWFSのレイヤーのままです。
ローカルで使用するには、GISのベクター形式にエクスポートすることをお勧めします。ここでは、ESRI シェープファイルに変換し、投影法を地理座標系(GCS, EPSG: 4326)から UTM Zone 36S / WGS-84(EPSG: 32736)に変換します。
1. レイヤパネルの geonode:groundwater_monitoring_wells_Coordinates レイヤ上で右クリックし、エクスポート | 地物の保存...を選択します。
2.ベクタレイヤを名前をつけて保存...ダイアログで、形式としてESRI Shapefileを選択します。 ボタンからプロジェクトフォルダを参照し、groundwater_monitoring_wells.shp として出力レイヤを保存します。
3. CRSの選択ボタン をクリックします。
4. 座標参照系の選択で、フィルタに32736と入力し、WGS 84 / UTM zone 36 S座標系を選択します。
5. OKをクリックし、ベクタレイヤを名前をつけて保存...ダイアログに戻ります。ダイアログは下の図のようになっているでしょう。
6. OKをクリックすると、レイヤーのエクスポートが実行されます。
処理の後レイヤは地図キャンバスに追加されます。
7. レイヤパネルから geonode:groundwater_monitoring_wells_Coordinates レイヤを削除します。
プロジェクトは下の図のようになっているでしょう。
次のセクションでは、さらにデータを追加します。
7. CSVファイルをインポート
ここでは、マラウイのラムサール条約登録地を含むCSVファイルをインポートします。
ラムサール条約登録地は、ラムサール条約登録地情報サービスからダウンロードできます。2,403箇所、254,307,159 ヘクタール(ha)が収録されています。
1. ラムサール条約登録地情報サービス をみてみましょう。
2. Explore by filters の下で Africaを選択します。
3. アフリカのラムサール条約登録地の地図が読み込まれたら、Explore by filtersのリストからマラウイ(Malawi)を選択します。
4. マラウイの地図が読み込まれたら、Exportsタブを選択します。
5. Formatの下でCSV fileを選択し、e-mailアドレスを入力し、Generateをクリックします。
すぐにラムサール条約加盟国情報サービスから、CSVファイルをダウンロードするためのリンクが記載されたメールが届きます。
6. CSVファイルをGISプロジェクトのフォルダにダウンロードします。
7. CSVファイルをメモ帳などのテキストエディターで開き、内容を確認します。
1行目に列のヘッダーが入っているのがわかります。列はカンマで区切られています。文字列はダブルクォーテーションで囲まれています。緯度と経度の列があるので、CSVファイルをGISでポイントレイヤーとして読み込み、他の列を属性として設定することができます。
8. QGISに戻ります
9. データソースマネージャを開く ボタン をクリックします。
10. をクリックし、CSVテキストタブに行きます。
11. CSVテキストダイアログで を使用してCSVファイルを参照します。
- レイヤ名をRamsar sites Malawiにします。
- ジオメトリ定義のX属性にLongitude列が、Y属性にLatitude列が選択されていることを確認します。ジオメトリのCRSにEPSG: 4326を選択します。この情報は、ファイルを地図上にプロットするために必要です。
12. Sample Dataのプレビューを確認します。問題がなければ、追加をクリックしてダイアログを閉じます。
これでRamsar sites Malawiのレイヤーがレイヤパネルに追加されました。ただし、このレイヤーはまだGISのベクターファイルではないので、GeoNodeデータの時と同様に、エクスポートしてUTM Zone 36S / WGS 84の座標系にデータを再投影する必要があります。
13. レイヤパネルの Ramsar sites Malawi レイヤで右クリックし、エクスポート|地物の保存...を選択します。
14. ベクタレイヤを名前をつけて保存...ダイアログで形式にESRI Shapefileを選択します。 ボタンを使用しプロジェクトフォルダを参照し、出力レイヤをramsar_sites_malawi.shpとして保存します。
15. CRSの選択ボタン をクリックします。
16. 座標参照系の選択でフィルタに32736と入力し、WGS 84 / UTM zone 36 S 座標系を選択します。
17. OKをクリックし、ベクタレイヤを名前をつけて保存...ダイアログに戻ります。ダイアログは下の図のようになっているでしょう。
18. OKをクリックすると、レイヤーのエクスポートが実行されます。
処理の後レイヤが地図キャンバスに追加されます。
19. レイヤパネルからRamsar sites Malawiレイヤーを削除します(CSVファイルを削除していることを確認してください。レイヤー名にマウスカーソルを合わせると、ツールチップにファイル名と座標系が表示されます)。
21. シンプルマーカーをクリックし、シンボルレイヤタイプをSVGマーカーに変えます。SVGグループの中でred markerを探します。
22. 幅と高さを12mmに変更します。
これでプロジェクトは下の図のようになっていることでしょう。
次のセクションでは、さらにデータを追加していきます。
8. SADC地下水情報ポータルから越境帯水層を追加する
マラウイの地下水プロジェクトの最後のレイヤーは、SADC-GIPの越境帯水層(transboundary aquifers)データセットです。
1. https://sadc-gip.org/ を開き、Searchフィールドでaquifers(帯水層)を検索します。
2. 2020 - Transboundary Aquifers of the World (unpublished) レイヤを選択します。
3. メタデータと属性情報をチェックしましょう。
4. QGISプロジェクトに戻ります。
ここでは、SADC-GIP を使って新しい GeoNode 接続を作成します。この方法は、前に第5章で学んだのと同じ方法で行うことができます。ここでは、別の方法を紹介します。
5. ブラウザパネルに行きます。
ブラウザパネルの下の方にGeoNodeの接続情報を見つけられます。GeoNodeグループを開くと第5章で追加したMASDAPの接続情報が表示されます。
ここで新しい接続情報を追加できます。
6. GeoNodeで右クリックし、新規接続...を選択します。
7. 新しいGeoNode接続を作成ダイアログで名前にSADC-GIPを、URLにhttps://sadc-gip.orgを入力します。
8. 接続テストをクリックします。
テストが成功すると、このポップアップが表示されます。
接続に失敗する場合は、インターネット接続環境やURLを確認してください。
9. OKをクリックしポップアップを閉じます。
10. ダイアログでOKをクリックし画面を閉じると新規接続が追加されます。
11. SADC-GIP接続からWFSグループと開いていきます。
12. 2020 - Transboundary Aquifers of the World (unpublished) レイヤを地図キャンバスにドラッグします。
先ほどと同じように、レイヤーをローカルのGISファイルにエクスポートしてから、GISでさらに使用する必要があります。
13. 第6章と同じ手順で、レイヤーを aquifers.shp という名前のシェープファイルとして保存し、UTM Zone 36S / WGS-84座標系に再投影します。
14. レイヤパネルから2020 - Transboundary Aquifers of the World (unpublished) レイヤを削除します。
これで、プロジェクトは下の図のようになっているでしょう。
すべてのデータの準備ができたら、プロジェクト、スタイリング、正しい座標系を含むすべてのレイヤーをGeoPackageに保存するのがおすすめです。この作業は次のセクションで行います。
9. データとスタイルをGeoPackageに保存する
このプロジェクトで作成したすべてのシェープファイルは、プロジェクトに参加している他の仲間と共有することはあまり容易ではありません。しかし、インターネット接続やSDIへのアクセスに問題があり、プロジェクトをオフラインで使用する必要がある場合は、すべてのデータ、スタイリング、プロジェクト情報を共有可能な1つのGeoPackageにまとめることが重要となります。
1. メインメニューからプロセッシング|ツールボックスを選択し、プロセッシングツールボックスパネルを開きます。
2. プロセッシングツールボックスでデータベース|レイヤをGeoPackage化と進みます。
3. レイヤをGeoPackage化ダイアログで、 をクリックしGeoPackageに追加するレイヤを選択します。
4. 全て選択するとOKをクリックします。
5. レイヤースタイルをGeoPackageに保存のボックスを選択したままにしておきます。このようにすることで、個々のレイヤーを別のプロジェクトにロードしても、レイヤースタイリングを維持することができます。GeoPackageのファイル名をMalawi_GIS_data.gpkgとして保存します。
6. 実行をクリックし、処理が終わったら閉じます。
次のセクションでは、プロジェクト全体をGeoPackageに保存することで、1つのファイルだけで簡単にすべてを共有できるようにします。10. QGISプロジェクト全体をGeoPackageに保存する
1. をクリックし新規プロジェクトを開きます。
2. ブラウザパネルに行きMalawi_GIS_data.gpkgGeoPackageを開きます。レイヤを全て地図キャンバスにドラッグします。
3. レイヤーパネルのGeologyレイヤーの上で右クリックし、レイヤの領域にズームを選択すると、マラウイにズームします(一部のレイヤーはもっと大きくなります)。
4.
オンザフライ投影が EPSG: 32736 (UTM Zone 36S/WGS-84) であることを確認します。これは、QGISウィンドウの右下に表示されています。他のEPSGコード(例:4326)である場合は、EPSGコードをクリックして、正しいものを選択してください。
これで、QGISプロジェクトを同じGeoPackageに保存することができ、GeoPackageファイルを他の人が共有してもQGISでプロジェクトを開くことができるようになります。
5. メインメニューで プロジェクト | 保存 | GeoPackage... を選択します。
6. プロジェクトをGeoPackageに保存するダイアログで先ほど作成したMalawi_GIS_data.gpkgGeoPackageを参照します。プロジェクトの名前として Malawi_Groundwaterと入力し、OKをクリックします。
7. ファイルエクスプローラーでMalawi_GIS_data.gpkgを別のフォルダ(Z:from Malawi2\)にコピーし、データとプロジェクトが本当にポータブルかどうかをテストします。
8. メインメニューでプロジェクト|開く|GeoPackageと進みます。
9. GeoPackageからプロジェクトを読みこむダイアログで ボタンを使って Malawi_GIS_data.gpkg ファイルのコピーがある新しいフォルダを参照し、 Malawi_Groundwater プロジェクトを選択します。OKをクリックし開きます。
これで、私たちが設定したとおりのプロジェクトが表示され、GeoPackage ファイルを使用する人にも同じものが表示されます。
次のチュートリアルでは、このデータをQGISでさらに加工していきます。